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中国就労ビザの基礎知識

華南地域の事例を中心にして

内田真人

2010年8月

はじめに

 中国で「就労」するためには、就労ビザ(いわゆるマルチのZビザ)が必要です。訪問ビザ(いわゆるFビザ)とノービザ渡航は、商用目的の滞在(いわゆる「出張」)が認められていますが、「就労」は認められていません。中国で働けるビザを整理すると下記の通りです。

就労ビザ
(Zビザ)
訪問ビザ
(Fビザ)
ノービザ 家族ビザ
(Zビザ)
定住ビザ
(Dビザ)
働けるビザ × ×
*1:ご家族に交付されるZビザは「就労」できません。
*2:就労ビザは、厳密には「居留許可(就業)」等の表記がなされています。

 「就労」と「出張」の相違点を1つ挙げると“現地法人から給与をもらっているかどうか”がポイントになります。中国で働いていても給与を日本や香港の会社からもらっていると「出張」になります。ただし、いわゆる183日問題に抵触するとFビザやノービザ渡航でも納税義務が発生します。

審査基準は変化します!

 ご存知ですか? 不況になると就労ビザ(いわゆるZビザ)の取得が難しくなります。失業率が高くなると就業ビザの審査が厳しくなるのは、どこの国にも見られる傾向です。中国は大学新卒者の失業が社会問題になっており、就業ビザの申請に際して“大卒以上の学歴を有するかどうか”の審査が厳しくなっています。その他、下記のケースでは、申請難易度が高くなっています。ご注意ください! 

どんなリスクがあるのか?

 中国滞在のリスクといえば、安全、納税、ビザ等があります。とりわけビザのリスク管理は重要です。主に3つのリスクがあります。

 第1はオーバーステイです。ビザ期限を越えて、中国に滞在すると1日の超過ごとに500元の罰金になります。なお、上限は5,000元ですが、罰金だけでなく、中国のイミグレーション(出入境管理処)に悪い記録が残る可能性があり、中国ビザの取得が困難になることもあります。

 第2は資格外活動です。最も多いのは、「就労」できないビザで就労したケースです。罰金は数千元以上になり、本人だけでなく、会社も罰せられます。中国のイミグレーションに悪い記録が残り、一般に本人も会社も中国ビザの取得が困難になります。

 第3は届出義務違反です。2008年から臨時宿泊登記が厳しくチェックされるようになりました。ホテル以外に宿泊する外国人は、居住地域の派出所等(警察当局)に原則24時間以内に届出をする義務があります。違反をすると数百元の罰金になります。当該地域の派出所等に悪い記録が残る可能性があり、当該地域で就労ビザを取得するのが難しくなる可能性があります。

 これらの他にパスポート不携帯等のリスクがあります。また、不況になると当局の審査が厳しくなるだけでなく、内部告発等のリスクが高まります。

 中国ビザのリスク管理と計画的なビザの取得がますます重要になります!

おわりに

 日本におけるFビザやLビザに関しては、

 香港におけるFビザやLビザに関しては、  がお勧めです。これまでご紹介して特にトラブル等はありませんでした。

参考文献

[1] 中華人民共和国駐日本国大使館「査証に関して」
[2] 中華人民共和国外交部駐香港特別行政区特派員公署「査証の種類と必要書類に関して(中国語)」
[3] 中華人民共和国深セン市公安局出入境管理処(中国語)
[4] 在広州日本国総領事館
[5] リロケーション・インターナショナル、エヌ・エヌ・エー(2006)『海外赴任2006 リロケーションガイド』。
[6] 浅井裕理(2006)『海外へ飛び出すE 北京で働く』めこん。
[7] 近藤義雄(2006)『中国現地法人の経営・会計・税務 [第4版]』中央経済社。
[8] 『地球の歩き方』編集室(2005)『地球の暮らし方E 北京・上海 2006〜2007年版』ダイヤモンド社。

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