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アジア経済論8

1996年6月13日

1)インフラとは……人々の生活と深い関わりをもち、公共投資によって
             整備されるべき物的

  (社会資本)   資本
          インフラには産業基盤となるものと生活基盤になるものに
          大別される

          産業基盤の例、電話、道路、港湾、電力、通信、ガスなど
          生活基盤の例、公園、病院、図書館など

  *電力、水道などは産業活動に不可欠な天然資源を供給する施設と道路、鉄道、
   通信など

   ヒト、モノ、カネ、情報などのフローを円滑にするネットワークを形成する
   施設。

   インフラは経済開発にとって重要かつ不可欠な存在。

2)インフラと経済開発

  アジアのインフラ整備とインフラ未整備の国   例、電話     中国ここ10年で大きく改善       10年くらい前までは電話を持つことが一種の特権であり、局長クラス       以上でないと持てなかった

    中国の電話設置費用     6000〜10000元(中国の一般的な人の年収に相当)     申込みから1年〜5年かかる           ↓     だから、中国では電話より携帯電話が先行して普及した     cf.中国はポケベルの保持数世界一     日本        中国     電話→携帯電話   →電話               →携帯電話          中国は日本と比べると電話の普及スピードがかなり速い        例、道路     日本:全国の隅々まで道路が整備されている(60年代から)       :道路管理システムのために非常にお金がかかっている          中国:高速道路(1980年代から)        大連ー瀋陽間(1989年開通)        天津ータンクー間(世界銀行からの融資を利用)        広州ー珠海間        南京ー上海間(96年開通)    例、港湾     日本:神戸、横浜 港湾使用料が高い     香港:世界一のコンテナ港        その他の有力な港        ・シンガポール        ・基隆(台湾)        ・高雄(台湾)    例、電力     中国:現在、停電が時々起こる       :経済開発が進んでいる地域で起こりがち     電力:エネルギー源として重要      クリーンな発電:水力、風力、原子力、太陽光      公害を生む発電:火力(石油、石炭)     *クリーンなエネルギー源が必要      中国、水力発電を重視      ・石炭に依存している火力発電は公害を生み出すから      三峡開発(上海への電力供給、浦東開発とも関わる)              cf.しかし、三峡開発のために100万〜200万人が移住しなければならな        かった      cf.中国は、近年、原子力発電を重視し香港の近くにフランスの技術を        導入して原子力発電所を作った。しかし、環境破壊への懸念から反        対意見もある。                    |                    ↓                 香港に反対された      cf.中国では、1億人の人が電力のない生活をしている      cf.日本の電力供給源の多くは原子力発電に依存


3)公共投資と生活基盤の整備

 ・生活基盤となる社会資本は利便性の高い快適な生活を送るために重要  ・電力、ガスは産業基盤であるが、文化的生活を享受するための生活基盤でもある。   また、道路、鉄道などは生活範囲を拡大し、よりよい生活をするための生活基盤で   もある。  豊かさをはかる指標  例、100人あたりの電話、テレビなどの保有台数    その他、水道、水道、ガス、公園、道路、病院など  例、病院    1000人あたりの病床数 上海5.1               米国5.5  cf.上海の平均寿命78歳を越えた  cf.中国は一人当たりのGNPが低いにもかかわらず、生活基盤がかなり整備され    ている。

 参照 テキストの126ページ

国民生活指標
  1人当たり
GDP

(米ドル)
人口
増加率

(%)
都市人口
比率

(%)
識字率


(%)
高等教育
就学率

(%)
1000人当
たりテレビ
台数
(台)
91 70-91 91 90 90 90
韓国 6,330 1.41 73 96.3 39 210
台湾 8,788 1.62 na 92.0 20 na
香港 13,430 1.95 94 90.0 13 274
シンガポール 14,210 1.38 100 88.0 8 376
タイ 1,570 2.16 23 93.0 16 112
マレーシア 2,520 2.74 44 78.4 7 148
フィリピン 730 2.58 43 89.7 27 48
インドネシア 610 2.18 31 77.0 8 60
中国 370 1.59 26 73.3 2 31
インド 330 2.19 27 48.2 7 32
ベトナム 230 2.29 22 87.6 2 39
日本 26,930 0.82 77 99.0 31 620
12カ国平均 6,337 1.91 51 84.4 15 177
米国 22,240 1.00 75 99.0 75 815
      ベトナムは
89年
台湾は85年
台湾88年
インド、
インドネ
シア87年
香港84年
 

*「新世紀のアジア発展のシナリオ」P.127 引用


4)社会資本と外資

 日本   :インフラの整備に日清戦争の賠償金が使われた
 アジア諸国:外資を利用

5)問題点

 経済成長のマイナス点
 日本:自動車の騒音、排気ガスなどの公害

 中国:89年 盲流 農業就業者6億人の15〜20%が移動する
                ↓ 
          都市の3K産業などに就業

 途上国の経済成長にはインフラが不可欠
 アジアの途上国:インフラ整備の資金不足の問題
                ↓
             外資や援助に期待
 資金の問題 民間企業主導だと受益者負担
       民間企業は採算に合わないことをしない
  
  cf.中国の例、「地覇」私有地の通行に通行料を要求

 経済発展で得た利益の配分の問題
  ・工業生産のための投資 
  ・学校、病院への投資

公害の問題
 インフラ整備は必ず国民福祉の増進になるのか?
 
 交通インフラの整備 → 交通量増大 → 交通事故死者の増加

 重複投資の問題
 電力会社、ガス会社、電話会社の協力関係問題

 それぞれの会社が配線を引くたびに土地を掘り起こしたりすると住民に迷惑を
 かける

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