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現代中国について

 最近、新聞や雑誌には中国のことについて多くのページがさかれている。そこで、具体的にはどのようなことがらが取り上げられているのか、主に毎日読んでいる産経新聞で調べてみた。産経新聞やその他の新聞で取り上げられる話題は、概ね次の5つに分けることができる。政治、経済、軍事、内政・領土、外交である。更にそれぞれについていくらか調べてみた。

 政治は、主にポストトウ小平についてである。ポストトウ小平には、どうやら江沢民体制があたるようである。いくつかの資料から私が受けた印象では、江沢民体制は、従来の毛沢東トウ小平がカリスマ的で政治の中心となってやっていく体制であったのとは異なり、国家の機関が機能する形でやっていく体制になるらしい。例えるなら、日本の首相みたいな感じで誰がなってもさして問題はないという体制になるようである。これは、おそらく以下のような理由のためだと思う。それは、現在、専門家の間では、トウ小平の死後、政治的混乱があるかもしれないというような推測がある。しかし、今後は、中国の中心的政治家が死ぬたびにそのような推測がおこらないようにし、且つそのような推測が実現しないようにするためなのだろうと想像した。

 次に経済である。その中でも驚くべき経済成長については、しばしば取り上げられる。それについて取り上げられている記事は、具体的には、急速な経済成長、日本企業を含む多くの外国資本の進出有望な市場の将来性などである。そして、それらで記事の9割は埋められる。残りの1割は、しかし中国には解決しなければならない多くの問題があるとしてしめくくられる。インフレ所得格差搾取現象の復活、経済に関する法整備環境問題等である。

 この中で特に私の関心を引いたものは、法整備環境問題である。

 法整備に関して中国は、法律を新しい経済体制や経済の発展程度にもとづいて作り直さねばならない。それは、同時に中国の商業上の習慣を考えて作らなければならない。これは、非常にバランスが難しいと思う。なぜなら、中国は新しい経済の法律を作る際に国際的商業慣例や先進国のそれに関する法律を参考にしなければならないであろうからである。この際、外国の法律を多く取り入れすぎれば、中国の商業習慣との衝突が起こるであろうし、また逆であるならば、日本の市場の閉鎖性の問題のような独特の商業習慣による国際社会からの非難が中国でも起こるのではないかと思う。これは、あるTV番組で中国でビジネス上のトラブルが多発しており、その原因の一つに法律の未整備があるといっていたことから私が想像したことである。たとえば、中国の商業習慣が国際社会のそれと近いものまたは、非常に柔軟であるならば、私が想像したことは妄想にすぎない。

 私は、新聞などを読みながら時々こういった想像又は空想をする。こういったことをしながら記事を読むと楽しい。

 法整備について、もう一つ想像がある。弁護士、税理士及び会計士等の専門家が多く必要なのではないかということである。

 以前あるTV番組である年輩の評論家が、私は戦前、大日本帝国憲法を勉強したが、憲法が変わって全部無駄になったと笑い話のように言っていた。彼は時代が変わったために以前学んだことが全く無駄になったわけである。これは上手な例えではないが、これと似たようなことが中国でも言えるのではないか。中国は急速な経済成長を続けているから今いる法律の専門家は、それに合わせて新しくなる又は加わる法律を覚えなければならないだろう。又、今いる法律の専門家だけでは不足であろうから、多くの学生が法律を学び、専門家にならなければならないであろう。老婆心ながら、中国の留学生は、留学よりも中国の法律を学んだ方がいいのではないか。それは、経済の発展を第一に考えるトウ小平的政策路線をとる中国において学生がなすべき一つの重要な役割のではないかと思ったりした。これは、中国は政治的には社会主義・全体主義であると認識して私がいくつかの資料をもとにしてした妄想である。

 経済については、もう一つ環境問題について関心を持った。特に公害についてである。

 日本は、経済大国になったが、同時に公害大国にもなったことがある。これと同じことが中国でもおこるのではないかと思う。中国で環境汚染が進んでいるという記事を時々目にする。一方、中国も日本の例を知っているはずであり、十分な対策をするであろうから大丈夫であろうとも考えられる。

 しかし、中国での経済活動の過熱気味な有様をみると楽観はできないと思う。

 ここで、私の知る限りで日本の公害大国化へのメカニズムを振り返ってみる。

 日本は、公害に対して全く対策をしなかったわけではない。日本は戦前の自国の教訓も持っていたし、他の先進工業国のそれについても知っていた。だから、日本政府は具体的には工場の排水等の廃棄物に規制をした。しかし、各工場は概ね規制を守っても次から次へと新しい工場はできたのである。仮に規制が全て守られていても環境への公害物質の排気量は総量として増加したのである。その結果、日本では、ある川は、そこで捕った魚介類は有害で食べられなくなったといった例がいくつもある。いささか重複するが、これは日本が当時なかったほどの経済成長をした結果生んだ副産物である。中国も現在、かつてなかったほどの経済成長をしているのである。願わくば、日本のような副産物を生まないことを希望する。しかし、具体的に何かをしなければ、そうはならないであろうからどうすればよいか考えてみた。私は中国の経済成長を現在の11%〜12%ぐらいから9%〜10%ぐらいに下げればいいと思う。経済成長を下げるには企業への増税が最善であろう。増税して増えた歳入で環境対策を強化すればよいと思った。

 次に軍事についてである。具体的には、、国家の歳出にしめる軍事費の割合などである。

 核については、最近、中国よりも仏国が特に国際的に非難された。国際世論のヒステリックな反応のためである。しかし、将来においてこれ以上の非難を中国が受ける可能性がある。なぜなら、仏国は、核実験を事前に公表したが、中国はそういったことをしていない。冷静に考えたとき、世界の世論は仏国より中国を危険な国であると考えるであろう。更に核開発の進展程度をみると、中国は、米、露、仏に比べて遅れているそうで、今後より多くの実験を必要とするであろう。

 あとこれは、あるTV番組である評論家が言っていたことにいくらか私の想像を加えたものだが、「仏、英の核は欧州連合が他の国際的に有力な米、露と政治的に対等につきあうため、又安全保障上必要なものである」と欧州の世論で受け入れられる土壌があると考えられるが、一方、中国の核に対して東アジア、東南アジアの各国は支持しないであろうから、中国に対する核反対の世論はかなり強いものになる可能性がある。

 中国の軍事費については、中国は自衛のためであるとしている。それは、もっともだと思う。あれだけ大きな国を防衛するには、かなり大きな軍隊が必要である。しかし、中国が軍隊を近代化し、万全の防衛体制を整えれば、東アジアに近隣諸国に隔絶した軍事力を持つ国が生まれることになる。現在、世界の安全保障はバランス オブ パワーによって保たれているようであるから、特に東南アジア諸国を刺激しないように、自衛力の強化、軍隊の近代化を徐々にするべきであると思った。

 領土、内政問題については、台湾、チベット、香港、南沙諸島についてがある。

 最近、特に取り上げられていたのは、台湾問題である。台湾の李登輝総統の米国訪問に対して中国は、駐米大使の召還や台湾の近海におけるミサイル実験を行った。これらは、国際世論に中国を警戒させ、その結果経済成長を第一に考える中国にとっては、ずいぶんマイナスになったであろうと思う。新聞の解説では、軍の意向の反映であると書いてあった。だとしたら、江沢民体制は軍をきちんと押さえることができるのだろうかと思った。

 又、香港については、中国の改革開放の波に乗って中国に進出する香港の人がいるかと思えば、一方でカナダやオーストラリアに移民する人も多くいる。香港は中国系の人たちの多い地域だが、そういった人たちが返還を控え外国へ移住してしまう現象のあることは、やはり楽観を許さないのではないかと思う。このような傾向は、少しではあるが台湾にもあるらしい。最近のミサイル実験などはかなりこの傾向に拍車をかけたのではないかと思う。台湾の対中投資激減という記事を見かけたりもした。

 外交については、特にアメリカとの人権問題である。これは難しい問題である。私の知識が足らないのと紙数がすでにオーバーしているので外交についてはここまでである。

 こうして調べてみると中国には様々な問題がある。中国は様々な問題があるからこそ興味深い。これらの問題のいくつかをこれからも関心を持って調べたり、勉強していきたい。そしてやがては、空想、想像だけでなく推量、推定ができるようになり、最終的には、中国のことについて卒業論文が書けるようなレベルにまで達したいものである。

 1995年9月25日 内田真人
 改訂(Ver. 1.02)


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ファイル種別 ファイル名 サイズ 初掲載日 最終更新日
全文HTMLファイル sofomoa1.html 9KB 1995-09-25 1995-09-25