森田ゼミ96年黒旗福助トップ

hukusuke
 福助特大号 
発行所 :Y.H.アカデミー
パトロン:森田ゼミナール様

夏休み推薦図書
灼熱の太陽 眩しすぎる向日葵の色
空想から科学への社会主義の発展 それは隷属への道なのか? 
真夏の世界を彷徨う君よ 蜃気楼の彼方に浮かぶ真実を見つけろ
超越と淪落の間――ロング・バケーションはこの一冊で突っ走れ! 

学生時代に何を学ぶべきか
 「等しさと豊かさと心細さと」そんな〈ゆたかな社会〉で〈終わりなき日常〉を生き、コギャルを見て〈アノミー〉を感じ〈アパシー〉な気分に陥っているあなたに、『福助』がその持てる力のすべてを結集してお贈りする学生時代の羅針盤。
 超古代文明の残したものに目を向ける前に、師の声に耳を傾けよ。

城西大学豪華教師陣が脳内モルヒネ垂れ流し状態で若き世代に贈る渾身の一撃。
青木寅男 芥 潤一 浦上博逵 黄色瑞華 岡田浄二 加々美英雄 木村 浩 草野素雄 窪川静江 黒沢昌子 黒田 征
清水希益 鈴木たけし 田中 洋 田中由多加 永積洋子 西勝忠男 野村久雄 原 剛 森田昌幸 茂呂公一 山口 勲


青木寅男

学生時代に何を学ぶべきか
 月並みな言い方ですが、やはり国際的感覚を身につけて欲しいと思います。そのために外国語を何か一つマスターすることが必要です。特に経済学を学ぶについては英語が好ましいように思います。国際的感覚は必ずしも外国語さえマスターすれば身につくものではないかもしれないが、少なくともそれを助けることは疑いない。マルティリングアルが望ましいことはもちろんであるが、一般の場合はそうはいかないであろう。とすればせめて英語だけでもということになる。特に経済学において英語は広く使われている。何もノーベル賞ばかりが能ではないが、
ノーベル経済賞(スウェーデン中央銀行300年祭を記念して1969年から設けられたので、今世紀の初めから設けられている他のノーベル賞に比べて新しい)の今まで受賞者39名にすぎないが、その出身を見ると米国24名と圧倒的に多く、英国の5名がそれに続いている。しかしこれにはシカゴ学派の総帥と目されるハイエクはオ一ストリアとされているのみならず、スウェーデンのミュルダールやオランダのティンバーゲンなども大部分は英語でその論文を発表しているとは想起して然るべきである。

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芥 潤一

夏休み推薦図書
社会学入門』/清水幾太郎/光文社カッパブックス
 高名な心理学者がカッパブックスのために執筆した珍しい本である。社会学の道案内として傑出している。ただ、古い本なので絶版となっており、大きな図書館で見るしかない。そこでもう一冊
思索と経験をめぐって』/森 有正/講談社学術文庫
 価値が多様化し、情報が氾濫するこの世の中で、自分で考えるということに気づかせてくれる本。

学生時代に何を学ぶべきか
 自ら考え、自ら判断する自主性。小・中・高校を通じ、与えられるままただそれを覚え込む、偏差値教育を受けてきた。それでは何か事が起きたとき、的確な判断をし適切に行動することかできない。これからの時代は何よりも自主性が大切である。

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浦上博逵略歴

夏休み推薦図書
『資本論』「第一章 商品」/K.マルクス/大月出版(参考:岩波文庫『資本論 1 (1)』)
 さしづめポォワロ探偵の如くマルクスの仕掛けた推理を解き明かしてもらいたい。
 この精巧な知的構築物に登場する人物は様々な概念であり、そしてそれらの一見同じにみえる概念の微妙な食い違いを丹念に拾い上げそれを捌いていく切れ味の凄み、あるいは迷宮入りを思わせるような、矛盾する概念の衝突を突破口として推理を飛躍させる手腕にはただ唖然とするほかはない。こうして、ときにはドラマチックに、ときには冷めた口調で、皮肉と風刺とをないまぜにしてストーリーは一本の縄の如く編み上げられていくのである。この構築物の、それを抜き去るとそのすべてが一挙に倒壊さえする鍵概念を追い詰めていくところは、あたかも真犯人を追い詰めていくような興奮さえおぼえる。この真犯人は、いったい何者か、それは楽しみに残しておこう。そしてこの推理の中で社会を見据えた「経済研究」の視座が会得されるなら、それは望外の余禄でもある。
「経済学会報 NO.7」(昭和63年7月30日城西大学経済学会編集発行)より抜粋

学生時代に何を学ぶべきか
@経済学部の学生として:「社会」を通じて、モノを見る目。
A若者として:自分の「個」を育てること。
「学生時代に何を学ぶべきか」という大変なテーマを与えられて少し困ってしまいましたが、それには、私自身がいま一番痛感していることを素直に述べることにしました。

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黄色瑞華

夏休み推薦図書
成功の才覚―西鶴の知恵袋』/森田芳雄(藤本義一推薦)/大空社
 企業人のモラルを簡潔に説いた一書。企業人として、成功の確率アップのために読んでほしい。

学生時代に何を学ぶべきか
 確かなものの見方、考え方を内に養うために能うかぎり読むこと、能うかぎり聞くこと。そういう姿勢を学ぶこと。
 学問を通しての人間形成。されば学問とは何か。教授諸兄の後姿を見て学ぶことが肝要。職業教育も情報伝達も否定しない。だが、ここは大学。教授者の著作にふれ、そこに学問する者の姿勢やその方法を学んで欲しい。
 今日役に立つものが明日役に立つという保証はないのだ。

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岡田浄二

夏休み推薦図書
俺の考え』/本田宗一郎/新潮社
 先日、機会があって』/本田宗一郎の生涯を描いた映画を見ました。その物語に感動して、本田宗一郎にもっと触れたいと思っていたところ、書店でこの本を見つけました。
 本の中では、彼の経営に対する考え方、人生観などがごちゃまぜになっていますが、語り口調で書かれていて明快です。夏の暑い夜にでも読んでみては如何かと思います。一気に読み終えて、さわやかさとなんとなく納得みたいな味わいを感じるでしょう。

学生時代に何を学ぶべきか
 異文化について研究することをすすめます。自分が興味をもった国の広い意味の文化について。できればその国へ旅行し、その生活文化なりに肌でふれることです。学生時代は時間があります。
 真の国際化には、まず白分の国の文化を充分に知ることから始まります。
 他国の文化を研究することで、日本の文化についての理解が深まります。例えば「アメリカを知れば、日本が見える」式のやり方です。

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加々美英雄

夏休み推薦図書
災害救援』/野田正彰/岩波新書
 ボランティアを考える人は是非一読をおすすめする。

学生時代に何を学ぶべきか
 やはり国際化に対応する勉強だと思います。
 まあ理由はともかく、学生は何か目標を決めてそれを自分で実行する唯一自由な時間のある時です。そのチャンスを逃してはいけません。
 具体的には
1.T0EFLを受けて550点以上を取るようにする(試験は多分毎年ある筈です)。
2.岩波新書 W.S.モーム著『世界の十大小説 ()()』上・下にあげられている小説を少なくとも三つ以読破する。

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木村浩

夏休み推薦図書
知のフロンティア―異分野からの報告』/生活・生産性研究集団編/勁草書房
 かつて、旧(財)日本生産性本部(現・(財)社会経済生産性本部)と係わりのあった研究者たち、例えば獨協大教授、経済同友会研究所長などを中心に、企業幹部、ジャーナリスト、医師、翻訳家、大学教授、デザイナー ―― 等々の多様な職業分野の人々による「異分野交流」を目的とする研究集団の6年間に及ぶ蓄積をまとめた研究報告書。知的協働の試みである。
 経済学専攻の学生諸君を念頭において推薦します。

学生時代に何を学ぶべきか
 先行き不透明な21世紀を生き抜こうとする君たちに、唯一お願いしたいことは、学生時代にこそ自己教育力を十分に培っておいで欲しいということです。
 学校教育の場を離れた君たちが、生涯を通して、自己実現に向けての継続的な学習を欠くのであれば、人生の光明は見出し得ないのではないか、と危惧します。
 したがって、設問にいう「学生時代に学ぶべきこと」、それは、時代と社会の変化に柔軟に対応して、主体的に学習する意思と能力(学習の技法ないし自己教育のノウハウ)を体得しておくこと、と言ってよいかと思います。
 如何なものでしょうか。

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草野素雄

学生時代に何を学ぶべきか
 「コミュニケーション」
 学科の「コミュニケーション論」ではなく、人との接し方、意思の伝達方法、グループ内での行動、組織や社会での人との関わり方などをゼミ、サークル活動、アルバイトなどを通じて身につけていくことが大切だと思います。これは要領良くふるまうことではなく不器用に行動したり、失敗をしたりすることから得られる教訓を将来社会人になったときに生かしてもらいたいという意味です。
 とりとめのないことを書きましたが、「よく遊びよく…」の精神でコミュニケーションの方法を学んで下さい。

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窪川静江

学生時代に何を学ぶべきか
 総合的な知識を習得し、判断力を養う。
 未知の課題に取り組むためには、現象を正しく認識し、それを分析して、他の事柄との関連を考え合わせることが必要である。広く総合的な知識の習得と判断力をこの時期に養ってもらいたい。

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黒沢昌子

学生時代に何を学ぶべきか
 少し抽象的すぎるかもしれませんがー
 理解し、それを応用することを学んで欲しいと思います。
 高校までの勉強は、とかく暗記中心になりがちだったのではないかと思います。大学での勉強は、それがどのような題材であるにしろ、まず理解しようとすること。そして、その理解を深めるためには、応用することが大切なのではないかと思います。

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黒田 征

夏休み推薦図書
風の歌を聴け』/村上春樹/講談社(文庫本)
たまには小説も読んでみるといい。
現在の若者の精神の風景が描かれている。
羊をめぐる冒険』に至る三部作のはじめとして推薦。

学生時代に何を学ぶべきか
 あなたが学びたいことを学びなさい。役に立つことを学ぼうとするよりは、むしろ学ぶこと自体のたのしさを思う存分に経験してほしい。世の中には「役に立つこと」以上に価値あることが在ることをしっかりと体得してほしいから。
 何を学ぶべきかという問いはどういう状態から発せられるのか。二つの場合が想定される。
 一つは学びたいことがたくさんあって選択に迷う場合。このときは、貪欲に、もっとも学びたいことに集中すればよい。
 次は、何も学びたいことが思いつかなくて、迷いの中にある時。このときは、何を学んだら良いか、あなた自身が、真剣に、自分さがしをすることになる。
 何を学ぶべきか、何を学んだらよいか、という問いの背後には、おそらく、それを学んだらどんな良いことがあるのか、それを学んだらどんな良いことがあるのか、それを学んだら何の役に立つのか、とい学ぶことの利益を求める発想が隠れている。しかし、間違えてはならない。学ぶこと自体がうれしいのだ。学ぶことそのことに意義があるのだ。学んでその代価としての効用を求める、というので在れば、その発想の仕方、あるいは、学習の動機がゆがんでいる。
 あなたが、学んで、そして何か役に立つ人間になろう、と考えるのであれば真面目すぎて、少し疑問である。役に立つために生きようと頑振る人より、喜んで生きている人の方が素敵である。

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清水希益

夏休み推薦図書
二十四の瞳』/壺井 栄/新潮文庫
 今年の正月、高校時代の恩師のお宅を訪ねた時、N先生はテレビで『二十四の瞳』を観ておられた。あの高峰秀子扮する“小石先生”のモノクロ映画である。映画は後半に入っていた。太平洋戦争が、一家の、また瀬戸内海の小島の12人の教え子の生活にいろいろな苦難を与えてる状況が映されている。「貧しい時代だったなあ。」と、N先生は幾回かつぶやいた。ご自分の若かりし頃の人々の生活と重ね合わせておられるようであった。大石先生が18年経ってふたたび島の先生となり、かつての教え子と再会するシーンは、いつ観ても涙ぐんでしまう。大石先生の優しさと子供たちの純真さが、胸に迫るのである。
 小説の中で面白いのは、子供たちのいたずらがもとで足を骨折し自宅で休養している大石先生をお見舞いしようと、8キロ先までの道程を不安と会いたい気持ちで12人が歩く様子である。“小石先生”がその向こうに住んでいるという一本松がなんと遠いことか。しかしみんなで相談をしながら、ひとつひとつ『問題』を解決していく。小学校一年生である。『問題解決の時代』に生きるヒントがここにある。

学生時代に何を学ぶべきか
@自分の性向、才能、願望など適正を知る。
A自分が社会で何をしたいのかを決める。
B目的を持って師・本・社会から真摯に学ぶ。
 学ぶ内容の前に「学ぶ心・学ぶ力・学ぶ友」を大切にしたい。要するに、誠実かつ勤勉に努力することが、学生としてのアイデンティティとなるのである。

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鈴木たけし

夏休み推薦図書
『星の王子様』/サンテクジュペリ/(参考:岩波書店『
「はじめての星の王子さま」4冊セット』)
 読む年令でいろいろなおもしろさがわかり何度も読みなおせるものだからです。

学生時代に何を学ぶべきか
 読書。
 長い人生、あることができる時期には、それをやるのが当然だと思います。
 みなさんは、社会人となられたとき、学生時代の有り余る自由な時間を懐かしく思い出されると思います。
 自由な多くの時間がかかるのが読書です。
 ぜひ読書の習慣を学生時代につけて下さい。

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田中 洋

夏休み推薦図書
変わる消費者、変わる商品―消費財の開発とマーケティング』/陸 正/中央公論社(中公新書1186 )
 花王の商品開発、調査を担当した著者が「商品開発」を具体的にわかりやすく論述した書物。
 我々が日常使っている商品がどのように作られたかが理解できる。

学生時代に何を学ぶべきか
 勉強の方法。
 大学時代に学んだ様々な知識は残念なことに長い間に忘れてしまうことが多い。
 しかしながら、大学の間に身につけた「学ぶ方法」は一度学んでおけば一生忘れることはない。そのためには、どんな分野でも良いから、深く追求して自分自身で徹底的に学んでみることを勧めたい。
 そのように「学ぶ方法」を身につけた経験は、卒業してからでも大いに生かすことができる。

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田中由多加

学生時代に何を学ぶべきか
 在籍学科の勉強をしてほしい。
 学年で修得している学科について、使用している教科書を中心に、そして基盤にして、もっともっと勉強してほしい。
 特別に何を学ぶのがいいか私には責任を持ってお答えすることができません。
 やや昔のことですが、ソニーの音楽をやっている人、この人は多くの有名芸能人を育てたので立派な方でしたが、私のゼミの学生が「学生時代に何を学ぶべきか」をききに行ったのです。そのとき、その方は「在学中に修得している科目をしっかり勉強しなさい」といわれたそうです。
 一応考えてみて下さい。

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永積洋子

学生時代に何を学ぶべきか
 毎日毎日を大事にして生きること。
 「人生は以外と公平なものですよ」という言葉を、まったく専門の違う著名な先生から聞いたのは、20代の終わり頃だったろうか。そのころは、本当にそうだろうかと思ったこの言葉を、50代の終わり頃から、折にふれて思い出すようになった。
 一日一日一生懸命に過ごさなくて、どうして自分にも公平に幸運がめぐってくるだろう。一生懸命というのは、何も勉強しろということではない。プランターの朝顔を見ながら水をやっているとき、料理の本と首っ引きで作った新しい一品を家族がおいしいおいしいと食べてくれたとき、ごちゃごちゃになってしまった引き出しを片づけたときなどに感じる小さな幸せは女だけの特権だ。ものを調べたり、書いたりという本職の、最良の気晴らしが家の中にあるとは、なんとありがたいことかと感謝している。
 年を重ねるたびに、暮らしがますます多岐多様になり、40代からは、30分の時間があったら、あれをして、これをして、という用事が、ずらっと並ぶようになった。
 まだ若くして時間がたっぷりある学生時代に、一日を無為に過ごすことなく、寝る前に今日も充実した一日だった、と感謝の気持ちで振り返ることができるような習慣を身につけたなら、公平な人生は誰にも与えられるだろう。

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西勝忠男

夏休み推薦図書
クマのプーさん』/ミルン/岩波文庫=訳書(石井桃子訳)とMethuen社他=原典、
 ともにavailable (たくさんのヴァージョンを探すのもたのしみとなる)
 いくら薦めても、読まない、読めない本など、豚に真珠である。しかし、目にふれた途端に喜びに浸れるような、しかも高度に知的で、有効な本はあるのか。それが現に存在するのである。『くまのプーさん』>これ一冊で充分。
 beautifuru で humour に満ちた愉快な会話(英会話の最もステキな実例)。奇想天外なスジ立てでありながら、心たのしめる、最高にリラックスの得られる本であり、座右の書として真にふさわしいもの。
 心ある英米人ならその100%が、『ウィニー・ザ・プー( Winnie-the-Pooh )』と口にするだけで歓びの声をあげる、と確言しておきます。
 (初出版より701周年)

学生時代に何を学ぶべきか
 セミナーやゼミに関連した勉強をすることが基本となります。これに付けたすとすれば、たいへん個性的で個人的なことになりますが、私の学生時代を振り返ってみますと、次のようになります。
@自然と親しむこと。
 山登りやバード・ウォッチングは実に愉しい青春の日を過ごす術です。春休み、夏休みはそのための絶好の機会です。山に登らない青年は学生ではない、と言えるほどです。
A旅をすること。
 欧米の学生達はよく旅行、それも、かなり長期間の旅行をして、見聞を広げ、体験を積みます。人間の様々な姿を知り、社会の実相を観察することほどよい勉強はありません。
B書物を読むこと。
 私は小学生の頃から「本の虫」と言われていましたが、ふりかえってみると、そう何十万冊も読んだわけではありません。しかし、心の養いとなるすばらしい本は、結局、学生時代に出会った古典だったと気づいています。西洋の古典は殊に私の心を捉えて離しません。詩も日本、英国、ギリシアと、それぞれ愛誦しておりますし、魂の救いとなるものです。また児童文学も捨てられません。少年、少女時代の心は、老齢になっても育っていくものなのです。(特に指示しません。自分で選んで下さい。)

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野村久雄

夏休み推薦図書
ワイルド・スワン―Wild swans』(上・下)/ユン・チァン(土屋京子訳)/講談社
 中国における抗日戦争、国共内線、文化大革命の時代は、異常な社会状況であった。
 その異常な社会に翻弄されながら、正義と倫理をつらぬいて生きようとした祖父母、父母の現実を、歴史の流れに位置づけながら、娘の眼で捉えたノンフィクションが本書である。
 それは極限状態とも言える状況にありながら、崇高な人間性を保持して生きぬいた家族の記録であるとともに、生みの苦しみとしての真実追求であり、中国全体としての足取りの記録でもある。
 開放政策のもと社会市場主義をかかげて発展している今日の中国を知る上でも一読を勧める。

学生時代に何を学ぶべきか
 興味・関心のある対象を表面的・形式的でなく、その対象の奥底、奥行きの深きを知ること。
 すべての事象・事物の認識は幾多の不確実性、矛盾、相克を捨象しつつ、思考、検証、創造を重ねて形成されたものであり、それぞれに深い奥行きをもっている。
 特に社会科学としての人間社会生活に関わる理念、思想、法則性、構造性、対処性等は歴史的与件をふまえての所産であり、絶対的ではないが、その奥行き、奥底は限りなく深いものを秘めている。
 したがって、どんなに単純と思われることであっても、自分にとって興味・関心があるならば、そこに焦点を絞り、その奥行きの深さを知って、自分の見識を独自性も加えて形成することが大切ではないかと愚考する。

青木寅男 芥 潤一 浦上博逵 黄色瑞華 岡田浄二 加々美英雄 木村 浩 草野素雄 窪川静江 黒沢昌子 黒田 征
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原剛

夏休み推薦図書
社会史の証人―20世紀初期ランカシャの失われた世界』/ウイリアム・ウッドラフ/ミネルヴァ書房
 大英帝国の豊かさの中の貧困がどういうものか、またその中で、社会の下積みに生まれた著者が、どのようにして成長したか、著者はロレンスばりの流麗な筆致で成長の軌跡を描いている。著者の客観的に自己を見つめ、歴史の中に自己を措定する手法は、この自伝を自伝以上のものとしている。

学生時代に何を学ぶべきか
 何語でも良いから、外国語で新聞が読める程度まで学ぶのがよい。
 1.外国語の勉強では、言語学や文学の研究は特殊な才能が必要だとしても、普通に読む程度の水準までは誰にでも到達できる。つまり意志があればできることだから。
 2.外国語を学ぶことによって、日本語と外国語のいわば複眼でものをみたり感じたりすることが可能になるから。
 3.国際化が流行語だが、外国語の習得は、将来、必ず諸君の活動の場を広げてくれるから。

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森田昌幸略歴

夏休み推薦図書
マサリクとの対話―哲人大統領の生涯と思想』/カレル・チャペック(石川達夫訳)/成文社(045-332-6515)
 少数民族が、国際社会で、独立を維持する苦悩を書いたもので、今後の世界を考える上で参考となる。

学生時代に何を学ぶべきか
 自分の人生における最高の価値は何か、を考えてほしい。生きるための手段としての就職でなく、ライフ・ワークを発見してもらいたい。
 人間は生きるために食べなければならない。しかしこれは生きるための手段であって、食べるために生きているのではないはずです。ところが、現代人は(欧米その他も含めて)、ほとんどが生きるために食べるのではなく、食べるために生きているようです。これはつまり何のために生きているのか、という自分の人生哲学が確立していないために生ずる珍現象です。
 ですから、自分は何のために生きているのか、またこれから生きようととしているのか、よく考えていただきたい。その結果、何か一つのライフ・ワークを発見してもらいたいのです。それがこれからの自分の職業につながる場合もあるでしょうし、職業とは無関係のものもあるでしょう。例えば、会社勤めをしながらも小説家を目指すとか、とにかくライフ・ワークの発見、確立が最重要であると思います。

青木寅男 芥 潤一 浦上博逵 黄色瑞華 岡田浄二 加々美英雄 木村 浩 草野素雄 窪川静江 黒沢昌子 黒田 征
清水希益 鈴木たけし 田中 洋 田中由多加 永積洋子 西勝忠男 野村久雄 原 剛 森田昌幸 茂呂公一 山口 勲


茂呂公一

夏休み推薦図書
愛蘭土紀行』/司馬遼太郎/朝日文芸文庫 \530(朝日新聞社)
 旅はかくありたいもの、と思わせる、ロンドンからリバプール経由、ダブリンまでの旅行記。
 ローマ時代からの民族の心、ビートルズから、多民族国家アメリカまでもが透けて見えてくる。

学生時代に何を学ぶべきか
 自分の将来について、自分で考えて判断し、自分で決める能力を養うこと。
 エコノミストであり、国際日本文化センター教授でもある、ある高名な学者によれば、これからの産業構造の予測は不可能に近く、「20年〜30年後はおろか、10年後でさえ、まったくわからない」とのこと。
 尊敬に値する親や先生の助言は大いに参考にすべきだが、そうかといって頼りすぎてはいけない。不透明で変化の激しい今のような時代では、自分自身の判断力に頼るほかない。できるだけ文学作品に親しみ、視野を広め、思考を柔軟にすること。
 文学を経ずに精神形成をした人は、ものの見方が浅く、理解が図式的になりがち。
 文学作品には、様々なタイプの人物が描かれていて、多様な価値観を学ぶことができる。失敗や挫折の体験が貴重であることを文学は教えてくれるだろう。

青木寅男 芥 潤一 浦上博逵 黄色瑞華 岡田浄二 加々美英雄 木村 浩 草野素雄 窪川静江 黒沢昌子 黒田 征
清水希益 鈴木たけし 田中 洋 田中由多加 永積洋子 西勝忠男 野村久雄 原 剛 森田昌幸 茂呂公一 山口 勲


山口 勲

夏休み推薦図書
『毛沢東の私生活』(
)/李志綏/文芸春秋
 かつて毛沢東の「実践論の矛盾論」を読んだ者は、理論と実践を統一した偉大な革命思想に驚嘆と敬意を覚えたことであろう。その毛沢東の主治医が公開した毛沢東の私生活。どんな体制でも、権力者が支配し、権力と欲望・情念をほしいままにする。暴君ネロも、ヒトラーやスターリンも。我々はどんな世の中に住み、どんな人物を信頼したらよいのか。いや、この伝記を読んだ者は、こんなことを問うことすら空しく、茫然自失して、しばし何も手につかない気持ちになるのではないか。人間とはこんなものなんだと。しかしやがて憤怒が、人間をこれで終わらせてたまるか、という憤怒が、読者の心の奥底からこみあげてくるのではないか。そうあってほしいと願いつつ、この書を薦めたい。

学生時代に何を学ぶべきか
 自分で努力して獲得せよ。
 オランダの現象的社会学者、ホセ・オルテガ・イ・ガセット(1883-1955)は、『大衆の反逆』(白水社)の中で、高貴な生を努力(endeavour)とし、凡俗な生を無気力(apathy)と名付けた。大衆とは凡俗な生のことであるから、この大衆の反逆を、オルテガは認めているわけではない。彼の書物は、凡俗な大衆の生が充満している現代を鋭く分析しながら、実は逆に、高貴な生としての「大衆の反逆」を意図しているのだ。
 かつて、スチューデント・アパシー(student apathy)という言葉が話題になった。無気力・無関心なものに、何を学ぶべきかを説いても無駄だ。どうしたらやる気を起こすか、などと他人に問うこと自体が人を宛にしている証拠だ。まずは努力(高貴な生)をすることだ。どうしたら努力できるのか、とか、何を努力すればよいのか、それがわかったら努力できる、などということになったら、怠け者が昼寝しながら果報を得るようなものだ。やる気は若者の特権である。めくらめっぽう努力しているうちに、めくらにもあたりが感触できてくるし、やがて開眼して学ぶ道が開けてくる。まずは「努力」だ。手始めに、オルテガの『大衆の反逆』でも読み、「高貴な生」を体得してみることだ。そうこう努力するうちに、「学生時代に何を学ぶべきか」は自ずとその答えを得られるであろう。

青木寅男 芥 潤一 浦上博逵 黄色瑞華 岡田浄二 加々美英雄 木村 浩 草野素雄 窪川静江 黒沢昌子 黒田 征
清水希益 鈴木たけし 田中 洋 田中由多加 永積洋子 西勝忠男 野村久雄 原 剛 森田昌幸 茂呂公一 山口 勲