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 福助17号 
発行所 :Y.H.アカデミー
パトロン:森田ゼミナール様

容器包装リサイクル法について  報告者:山路博之

 1995年6月、「容器リサイクル法」が公布された。この法律の内容は、主として、びん・缶・ペットボトルなどあらゆる容器や包装の廃棄物を市町村から分別収集し、事業者における再生利用の義務を目的としている。

 ゴミの問題は、大量生産、大量消費の社会にあっては極めて深刻な問題である。何故なら、近い将来、ゴミの最終処理場が満杯になることは容易に想像できるからだ。そこで、ゴミ減らしの方策として物の再利用が提案される。だが、産業廃棄物に比べて、一般廃棄物の再利用は極めて低いのが現状である。

 さらに、一般廃棄物の中でも容器包装の占める割合は高く、これをいかに減量させ、リサイクルシステムを築くかが焦点となってくる。こうした背景の中で、容器包装リサイクル法は誕生した。これは、市町村の分別や事業者の再利用を明記する法律であり、従来の消費者側におしつけていたゴミ問題を、行政や事業者側に対して義務を課していく点で評価できる。

 法律の内容として、一般廃棄物を市町村が分別収集し、これを業者が引き取り、リサイクルする義務を負うことがあげられる。リサイクルの方法は、二通りある。一つは、通産、農林などの官庁、大臣指定の公益法人に委託する方法があげられる。もう一つは、自らが行うか、指定業者以外のリサイクル業者に委託する方法があげられる。

 しかしながら、ゴミの最終処分場の延命を図るこの法律も万全とはいえない。何故なら、リサイクル技術が確立していないプラスチック容器や紙製品については、3年の猶予期間を設けるなど、規制の目からこぼれてしまうのもあるからだ。また、小規模事業者は適用から除外されるなどの処置も、リサイクル徹底化に水をさすものといえる。

 今後この新制度(容器リサイクル法)のもとで、行政や事業者のきめ細かい指導や配慮が期待される。さらに、このリサイクルに費やされる費用が商品に反映し、消費生活に影響を及ぼすことのないよう調和のとれた制度を確立すべきである。

〈参考文献〉
・植田和弘 『廃棄物とリサイクルの経済学』 (有斐閣,1992年)
・植田和弘 『リサイクル社会への途』 (自治体研究社,1994年)
・大内秀明 他 『まちづくりのシナリオ』 (日本経済評論社,1994年)
・岡部裕三 『破綻―臨海副都心開発 ドキュメント 東京を食い荒らす巨大利権プロジェクト』 (あけび書房,1995年)
・編者 東京下水道史探訪会 代表 池田修一 『江戸・東京の下水道のはなし』 (技報堂出版,1995年)