森田ゼミ96年張ゼミ96年浦上ゼミ97年トップ

ルーム

 僕は署内の、いわゆる『留置場』と言うところに連れてゆかれた。本当はそんな名前ではないと思うのだが、とりあえず地下にあるカビ臭い部屋に監禁されている事は事実である。しかし、本当に地下室があるというのは驚きだ。
 部屋の中は狭く、汚らしい便器からは悪臭が漂っている。どうも換気が悪いらしく、空気がもったりとしているような錯覚をうける。
 はっきり言って気持ち悪い。
 壁はコンクリートで出来ていて、白いペンキで塗ったくられている。
 ドアは鉄格子……で、出来ていたらどんなに良かったろう。ドアは分厚い鉄製で、小さな覗き窓(ここだけが鉄格子だ)だけが、この部屋唯一の換気の役目を果たしている。

―― いったい、いつになったら帰れるのだろうか。
 もしかしたら一生このままなんじゃ……

 怖い考えが頭をよぎる。
 自分で何をしたのか知らないのだ。いついつになったら出られる、そんな保証はどこにも無いのだ。
 出来る事なら正直に、すべての罪を償いたい。しかしながら犯罪を自供しようとしても、どのような犯罪を犯したかという概要さえわかっていないのだ。それがわかるまで下手な事は言えない。いや、言う事も出来ないし、言っても笑われるのが関の山なのだが。

―― タバコが吸いたいな ――

 僕は大きなため息と共に、そんな事を考えた。


アレスト! ブラインド ルーム プラシーボ テオリーア
用語辞典 スペルマ! オーガズム マスターベイション リアル

「フィロソフィア マスターベイション」に戻る