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プラシーボ

 汚いベッドに寝そべり、味も素っ気も無いような白い天井を見ながら思いを巡らす。
 なんで僕は捕まってしまったのであろうか。幾ら考えても解らない。
 考えはどんどん悲観論的(ペシミスティック)になってゆく。

『こんなんじゃ駄目だ』

 僕は、ダレに言うでもなく、一人つぶやいた。もっと楽観的(オプティミスティック)に考えてゆかねばなるまい。
 僕は今、留置場にいる。外に出る事が出来ない。だがしかしどうだ、家に居た時によるになってから外に出る事などあったであろうか。否、ほとんど無かったハズだ。TVも新聞もあまり見ないし、横になりながらくだらない事を観想(テオーリア)していただけだ。つまるところ、現時点の状況でも普段とさほど変わらない訳であって、状況が同じならばどう捉えても構わない訳だ。まあ、多少便所臭く、カビ臭いが、普段の僕の部屋よりも片付いているし、うるさい暴走族の音も聞こえない。
 これはこれで、結構良いのかもしれない。
 僕は静かに思いを巡らせ始めた。


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