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(2)為替レートの変化

 日本の物価が諸外国に比べて高いといわれ始めたのはいつの頃からだろうか。おそらく、1985年9月のプラザ合意を転機として、為替レートが円高に移行して以来ではないだろうか。プラザ合意とは、主要国の大蔵大臣・中央銀行総裁(当時のG7)が二ューヨーク市内のプラザホテルに集まって、ドル高是正に合意したことである。これをきっかけとして、為替レートは一気に円高・ドル安の方向に動き始める。念のためにこの時期以降の為替レートの動きを確認しておこう(C参照)。

「C」1980年以降の為替レートの変化
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出所:IMF,"INTERNATIONAL FINANCIAL STATISTICS"93年版。

 グラフ「C」は、1980年以降の為替レート(円ドルレート)の推移をグラフにしたものである。80年代の前半、円安、ドル高基調できた為替レートは、85年9月のプラザ合意を一つの転機として急速に円高ドル安の方向に動き出す。プラザ合意以前には1ドル=240円であったものが、3年後の88年には1ドル=125円にまで円高に進み、その後は多少の円安方向への逆戻りがあったものの、93年のはじめからまた円高方向に進み始め、94年の6月には1ドル=100円を切ってしまった。

 何故円高基調になると、日本の物価が注目されるのであろうか。次のような計算がよく引き合いに出される。海外で1台1万ドルで売っている自動車を考えてみよう。これを1ドル240円で輸入すれば240万円という計算になる。しかしもし1ドル=100円になれば100万円という計算になる。要するに、2.4倍の円高になれば海外から輸入した商品は2.4分の1になるという計算なのだ。もちろん、こういった単純な議論は正しくない。輸入品といえども国内の流通を通って消費者に届くのだから、国内の流通コスト分は円高とは関係がない。つまり、流通コストは我々が予想するよりも、はるかに高いわけである。しかしそうはいっても、やはり日本の物価は高いというのが大方の人の印象なのではないだろうか。以下で、その印象を検証してみることにする。


序章
 学問とは自発的行為である
 学問とは自己満足の世界である
 学問的行為者の学問的行為
 学問は必ずしも社会の役に立たないのは当然
 私的空間と公的空間をつなぐ方法−論文−
 序章での引用文献・参考文献
第T章 何故、日本の物価は世界と比べて高いのか(経済学)
 (1)はじめに
 (2)為替レートの変化
 (3)内外価格差の現実
 (4)むすび
    第T章での引用文献・参考文献
第U章 何故、戦争は起こるのか(国際政治学)
 (1)はじめに
 (2)戦争の歴史
 (3)経済的要因からみる戦争の出現
 (4)生物学的要因からみる戦争の出現
 (5)何故、戦争は起きるのか
 (6)経済制裁で、北朝鮮を追いつめてはいけない
 (7)むすび
    第U章での引用文献・参考文献
第V章 何故、男は女を愛し、女は男を愛するのか(大脳生理学)
 (1)はじめに
 (2)男が女を愛し、女が男を愛する理由
 (3)男と女の関係を決める要素は何か
 (4)男と女のつりあった関係
 (5)むすび
    第V章での引用文献・参考文献
終章、あとがき

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